オバマ氏が正式に大統領立候補者として、承認されたそうだ。
これから11月の本選挙へと向けて、アメリカは、ますます選挙一色になることだろう。
日本と違って、国の元首が変わると、すみずみまで政治が変わるのがアメリカである。
クリントン政権から保守のブッシュ政権へと変わってから、アメリカは戦争へと突入し(ブッシュは中東外交に弱く、それが9..11テロに繋がったといわれている)多くの政策が転換し、物価は上がり、国は均衡を失っている。
NYでも、都心に住んでいたアーティストたちがどんどん外に追いやられて、アートシーンは活力を失っている。
黒人のオバマ氏が大統領になれるか・・・。
ちょうど10年くらい前だった記憶しているけれど、アメリカに黒人の大統領と女の大統領のどちらが先に生まれるだろうか。
どちらかが生まれたら、アメリカも改革のときがくる。
と、言われていた。
今回、黒人と女性の大統領候補が一騎打ちになった。
ちょっと残念だったな、ひとりずつ交代で出てくれば良かったのに、と両方を応援していたアフリカが身近で女のわたしは内心思った。
オバマ氏が大統領になるのは、日本で在日韓国人が大統領になるようなものだ。
わたしの両親は正義への熱血漢で、母は学業が得意だったから、地域の非差別部落のひとや、在日朝鮮人に無償で勉強を教えていた。
そんな中、わたしはよく朝鮮人の家に連れて行かれ、夜遅くまで話し込んだ両親にその家に置いて帰られることがよくあった。
朝目覚めると、真っ赤なカーテンと、しみのある壁の薄暗い部屋にいて、となりに、お姉ちゃんやお兄ちゃんがいた。
大抵わたしの顔を覗き込んでいた。
お風呂に入れられ、食事をしたけれど、豚足がど〜んと大皿にもられたりすると、なにをどうしたらよいのかわからず、幼いわたしは半泣きだった。
今でこそ、韓国ブームかなにか知らないけれど、ヨン様だとか、韓流スターだとか言って騒いでいるけれど、一昔前は、朝鮮人はものすごい差別を受けていた。
韓国料理も身近ではなかった。
誰も近寄らなかったし、平気で「チョン」なんて呼んでいた。
就職も結婚も彼らは容易ではなかった。
ゴミ集めや、養豚など、ひとがやりたがらない仕事ばかりさせられていた。
国籍もないのだから、もちろん、選挙権もない。
わたしがよく預けられた朝鮮人の家は、豚を飼っていたので確かに匂いはした。
おじちゃんは大抵大声で喋ったし、多分韓国語だったのだろう、なにを言っているのかわからず、ときどきビビった。
そして、彼らの食生活に慣れていなかったし、神経質だったわたしは、食事の時間が苦手だった。
けれど、お兄ちゃんもお姉ちゃんも歌が上手かった。
わたしが半泣きになると、お姉ちゃんがピアノをひき、みんなで歌を歌ってくれた。
お姉ちゃんは美人だった。
そして、みんなとても暖かかった。
お兄ちゃんは、高校を卒業すると、シンガーソングライターになった。
ヒットした。
チャートを登り詰めた。
「金パチ先生」の挿入歌も歌っていた。
けれど、差別はついてまわったという。
芸能界には、政界と違って多くの朝鮮人がいる。
それでも、いろいろ辛いことが多かったらしく、お兄ちゃんは活動の拠点地だった東京を離れ、今は沖縄に住んで音楽活動をしていると聞く。
お姉ちゃんたちは揃って美人で歌も踊りも上手かったけれど、結婚に苦労した。
色白で優しいお姉ちゃんが泣いているところを、幼いわたしはみたことがある。
今でも、在日朝鮮人のひとたちの日本での地位は高くない。
日本人が強制的に連れて来てきたひとびとの子孫でも「外国人」なので、指紋の押捺も求められる。
そして、自ら申請して、多くの手続きを踏まなければ日本国籍を取得することはできない。
こんな日本が、在日朝鮮人の首相を生むだろうか・・・。
自民党や民主党や社民党や共産党の党首が在日朝鮮人になる日が来るだろうか。
アメリカの奴隷の歴史と日本の朝鮮との関わりは、同じではない。
けれど、差別の意識、というのは、残念ながら共通のものだと思う。
わたしの日本人の友人は1970年代から幼くして白人社会に入ったが、指差され笑い者にされ、いじめられたという。
もちろん、黄色人種だったからだ。
同じ時代に「朝鮮、臭い!」と言っていた日本の朝鮮人への差別と変わらない。
アメリカは変化を遂げることができるのだろうか。
「ブラック」のオバマ氏が、「ホワイト」ハウスに座る日が来るだろうか。
地球は変化のときを迎えている。
日本の気候もかなり乱暴なほど変化しており、東京ではランダムに激しい雨が続いている。
アメリカの政界も同じである。
来週からNYに少し戻るので、風を感じて来ようと思う。
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