ピンポーンとチャイムがお昼に鳴りました。
誰だろうと思って出ると「宅急便で〜す」と言う声。
いつものお兄さんの声でしたが、一応、ドアの覗き穴からチェックしました。
「宅急便って怖がられません?」って言うと、「そうなんです。どこでもその話しでもちきりです。でも、僕、これやって長いからみなさん覚えてくれてるし、声に特徴があるからすぐ分ってドアを開けてくれますけど・・」と笑っていました。
宅急便屋を装って、政府関係者を殺傷した事件が起こったばかりです。
テロかテロでないか、ということは別にしても、ひとを簡単に信頼できない世の中っていうのは住みにくいものです。
実家の母から届いた荷物には、今年の玄米、レモンなどの柑橘、そして手作りケーキが入っていました。
いつもの完全無農薬の有機玄米に、ごつごつしているもちろん無農薬の柑橘類、知りあいの有機農法の農家の小麦粉と卵を使ったケーキ。
ひとの温もりと、どこから来ているかわかる確かさにほっとします。
NYの友だちからメールが来ていました。
会社をクビになった、と。
すぐに電話をして様子を聞きましたが、さすがにショックだったそうです。
彼女はヨーロッパ人で、科学者としてエリート街道を走ってきた人ですが、途中から建築家に転向しました。
才能に恵まれた人で、建築家としても順調でした。
そんな彼女を襲った突然の今回の出来事。
「お給料は12月分まで支払います。来週からもう来なくてもいいです。」のひと言で、彼女は慣れ親しんだオフィスに突然の別れを告げることとなったのです。
世の中の大変化はあちこちに影響を及ぼしています。
前代未聞の大恐慌を前に、彼女のオフィスの40パーセント以上がクビになったそうです。
NYの多くの会社で同じようなことが起こっており、街は不安でますますアグレッシブになっているひとでいっぱいだ、と彼女は言っていました。
彼女と話しました。
とにかく「今」を生きよう。
できることをひとつずつやって、そして、すべての瞬間を楽しむことにしよう。
会社という安全クッションはなくなったけれど、あなたはまだ生きている。
才能がなくなったわけでもない。
こうしている間にも東京には青空がひろがっていて、あなたの空には星が輝いている。
そして、わたしたちには友情がある。
愛すべき人たちがいる。
母から送られてきたレモンを使って、シャンプーバー石鹸を作るつもりです。
できあがったら、NYの彼女にも送ろうと思います。
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