偶然、テレビをつけたら、生中継で北島選手が飛び込むところだった。
男子100メートル平泳ぎ。
なんと、素晴らしい泳ぎで優勝。
凄いな〜と感心し、それから昼食を作った。
気付いたら、男子水泳リレーになっていた。
日本チームは予選漏れしたのか、いなかった。
フランス、南アフリカ、イギリス、などが競っていた。
アメリカが僅差で勝った。
思わず Go, go, United States, go!! Yes!!!!
と、叫び、アメリカがタッチの差でゴールしたときには、跳び上がって拍手していた。
気付いたら、涙が出ていた。
夏休みに入って静かなマンションに、大声と拍手が響き渡っていた。
もちろん、だ〜れも、同じように叫んでいるひとなんていない。
あぁ、戦争中でなくてよかった・・と、昼食が終わってお茶碗を洗いながら思った。
英語で大声でアメリカ人を応援していたら、戦争中なら殴られかねない・・。
遠縁のものにいた。
彼は、イギリス人女性と結婚し、外交官としてヨーロッパにいたけれど、その最中に第二次世界大戦が勃発した。
日本とイギリスは敵国同士で、夫婦は決断を迫られた。
イギリス人の妻は大決意をし、日本に夫と二人の子どもと一緒に来た。
ヨーロッパで生まれ、イギリス人の母親を持った二人の子どもは、日本語もおぼつかなく、敵国人として、いじめられた。
戦争が終わって63年たった今、当時小学生だった彼らのひとりはアメリカに住み、ひとりは日本に住んでいる。
戦争の残した爪痕は大きく、二人とも、敵国人としていじめられた幼少期を払拭するように、生きている。
アメリカに住んでいるひとりは、過去を忘れたように、そして日本に住んでいるひとりは、日本人らしくするように一生懸命努力しながら生きている。
努力していること自体がすでに日本人らしくない、ということに、自覚がないほど・・・。
どこの国も、自分の国の選手の出場する種目ばかりを放映する。
日本にいると、日本人の種目ばかり。
柔道をこれほど沢山見たのは、生まれて初めてだ(笑)
4年前のオリンピックのときも、わたしはアメリカにいた。
大人として、オリンピックを日本で体験するのは、今回が初めてだということに柔道を見て気付いた。
逆に、アメリカにいると、陸上や水泳など、アメリカ人が出る競技ばかりが放映される。
アメリカにいるときは、日本人も見たい、と思っていた。
きっと、中国では中国人の活躍ばかりが放映されているのだろうな〜と想像する。
世界中のひとたちの競技を見たい、と今のわたしは思う。
黒人がはなはだしく少ないのにも、哀しみを覚える。
オリンピックと経済力、政治力は離されないものなのだな、と現状をますます見せつけられる。
ただ、アメリカの悪口を言うひとは多くいるけれど、この優勝した水泳リレーチームに黒人選手が混じっていたのをわたしは嬉しい気持ちで見ていた。
南アフリカチームには、アフリカなのに黒人はひとりもいなかった。
大統領候補に黒人があがるほど、アメリカには、それがほんの少しだったとしても、少なくとも、努力する人間に与えるチャンスがあることを・・・知って欲しいと思った。
それにしても、世界中のみんなに平等にチャンスが与えられ、どこにいても、自分の応援したい国やチームやひとを、おおっぴらに、自由に大声で応援できる時代がくることをこころから願いながら、茶碗を洗い終えた。
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