ひとつ前のブログを書き終えて、借りていたDVDを見た。
今日最初に書いた、「乱気流」の内容とまるまるダブっていた。
在日朝鮮人の暮らしと苦悩が、わたしの見たそのまま描かれていた。
芸能界に入って苦労する話しから、結婚の難しさまで、まるで同じだった。
家族の雰囲気も、わたしが幼い頃に経験した朝鮮人家庭の雰囲気に本当に似ていた。
豚足まで出て来たので、ひとりで茫然自失してしまった。
わたしはなぜか、幼い頃から在日のひとたちの現実に投げ込まれていたので、彼らの生活を身近に知っていたけれど、日本の多くのひとは、自分の国にある現実を知らないと思う。
親やその親がタブーとしてきたので、いつの間にか目をそらす習慣ができてしまっているのではないだろうか。
わたしの同級生たちも、同じ町に住んでいても、彼らとは全く接点を持たずに生きていた。
映画は、率直に描かれていた。
この映画を作った井筒和幸監督は、過激だとか左翼的だとか結構叩かれたりもしているらしいけれど、わたしの経験から知る限り、ここに書かれていることは、真実だ。
これからは、夜もだんだん長くなる。
ぜひ、見て欲しいと思う。
日本と戦争を、同じ国の中で違う視点から見た、愛と勇気の映画だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この監督のことは、詳しくは知らなかった。
知人に「あちこちで叩かれてるらしいよ」と、聞いていただけだった。
上の出典(Wikipedia)によると、パッチギは、『ALWAYS三丁目の夕日』に日本アカデミー賞で完敗したらしいが、わたしはこの監督に賛成で、ALWAYSなんかよりこっちのほうが断然いい、とわたしも、ALWAYSを見ずに断定してしまう(笑)。(この監督は、映画を見もせずに酷評して不評らしい)
だって・・・テレビやなにかで予告を見た限りは、ALWAYSは、現在の行き詰まった日本の状況から打破できない現代人が、公害と金に狂っていた時代をノスタルジックに描いているだけの映画に感じるからだ。
昭和中期の時代をこの頃もてはやす人たちが多いけれど、冷静に考えてみれば、あの時代は、日本のひとびとが、アイデンティティを失ってしまう、ほんの少し前の予兆のような時代だっただけじゃないだろうか。
あの時代に残っていた温もりは、ずっとあった温もりのほんの最後が残っていただけだったのだと思う。
あの時代から急速なカーブを描きながら始まった「現代生活の陰」(家族崩壊、アトピーをはじめとするアレルギー、高いストレスの生活、精神不安など)を、わたしたちの多くは今抱えて苦しんでいる。
同時代を描いた映画でも、パッチギのほうが断然リアリティがあると感じるし、なんと言っても、過去を単にぼんやり美化して振り返るだけではなく、現実を見据え描いた上で、未来に希望を与える映画だと感じる。
ネットでさらりと見ただけでも、彼を酷評したり嘘つき扱いするひとたちがいることは分ったが、彼はアーティストであり、直感的にものを言うのはアーティストの特徴であるのだけれど・・あまり芸術に理解のないひとたちには分らないのかも知れない。
作品を観れば分る。
彼が優しく、温かく、率直なひとであり、素晴らしい作り手であることを。
とにかく、観てごらんあそばせ。
コメント