昨夜は、テレビをつけたら紅白をやっていたので、途中から見た。
昔を思い出した。
テレビは長い間なかった我が家だが(テレビはよくない、というので閉め出されていた)、途中からちいさなテレビが広い居間の隅に登場した。
それまで、ラジオでしか聞いていなかった紅白をテレビで見て感動したのを覚えている。
家族みんなで見た。
そして、近所の寺に鐘をつきにゆき、一晩中、百人一首をやったものだ。
楽しかった。
あれから間にアメリカという時間が流れ、とっても遠い昔の思い出になってしまっている。
アメリカでも12時間遅れで流れてくる紅白を見ることはあった。
日系アメリカ人は、みなあれを楽しみにしている。
ジェロさんのおばあさんがどんな風だったか容易に想像できる。
でも、なかなか日本の紅白に気分が戻らないままできた。
実家の状況も変わり、わたしも変わり、日本もすっかり様変わりしている。
けれどなぜか今年は、少し戻ったような気がした。
昨夜は、ひとりでゆっくり見た。
何時間もテレビを見るなんて久しぶりで、ちょっと途中から落ち着かなかったけれど、次から次に歌手が出てくるので、つい観てしまった。
やはり、圧巻は演歌歌手。
特に、男性陣が「凄いな〜」のひとことだった。
北島三郎の伸びやかで朗らかで、説得力のある歌声。
五木ひろしの熱唱。
そして、森進一の「おふくろさん」
アメリカにいると日本の歌謡界のことは全く分らなくなる。
興味もなかった。
けれど、森進一と沖縄民謡のテープだけは持っていた。
安室奈美恵さんを、旅先のサンフランシスコの日本人街の電気屋のテレビ画面でみたときは、愕然とした。
こんなひとが日本では人気なのか・・と思った。
未だに彼女には慣れない。
嫌い、とかそういうんではなくって、馴染めないのだ。
可愛いし、才能もあるのだろうと思うけれど、なにかがウソな感じがする。
歌を歌っているのではなく、なにかの「虚構」を生きている感じがするのだ。
日本のポップス界にはそういうひとが多い中で、演歌は本物の歌を歌うひとが多い、と感じていた。
やっぱり、凄い、と昨夜思った.
ただ、女性陣にはあまり個性が感じられず、川中美幸さんと坂本冬美さんと藤あや子さんの区別がつきにくかったのはわたしだけだろうか。
坂本冬美さんが出てきたときは、川中美幸さんが痩せて出てきたのかと思って、真剣に一瞬驚いたくらいだ
その中でも、天童よしみさんは、あっぱれだった。
のど飴の宣伝や、コミカルな場面でしか彼女のことは知らなかったけれど、昨日の歌では、その堂々とした歌いっぷりに間奏でひとりで大拍手してしまった。
間奏で拍手したのは、女性歌手では彼女だけだった。
この国の女性たちは「愛されたい」願望が強いせいか、依然として歌謡界も男社会のせいか、そのひとの魂を歌いきってくれるひとがなかなかいない、というのがわたしの印象で、女性歌手にはちょっとガッカリすることが多い。
昨日も改めてそう思った。
北島三郎さんのあとに、ヒトトヨウさんが歌ったけれど、あまりにも惨めで可哀想になった。
紅白って、いろいろな歌手が一堂に会するから、実力の差がハッキリとして怖いところなんだな〜、北島さんの後なんだから、もう少し経験と実力のあるひとを出してあげればいいのに・・・。
北島さんは、大トリをとらなくても、そこが大トリになってしまうようなひとなのに・・・。
などと、ひとりで気を揉んでしまったのだが、女性陣にはもっとがんがん行って欲しいと思う。
なんにしろ、これも男の人だけれど、森山直太郎さんの歌も良かったし、氷川きよし君も大トリという大役を見事にこなしたし、ジェロさんも良かった。
楽しい夜だった。
一年の計を歌で締めくくるのは、この国の好きなところだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(芸術家)
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