「ここはアフリカ」のつもりで、ずっと水シャワーを浴びていましたが、このところ、どうしてもお湯に入りたくて、銭湯に行っています。近所の小さな銭湯で、夜も早くに閉まってしまうので、慌てて行くのですが・・・
お湯に入るって言うのは、贅沢なことなのだな〜と改めて思いました。全身がゆるみ、体やこころがほぐれます。体がフルフルするのです。こころも緩みます。現代社会を生きていると、緊張の連続です。電車に乗るだけでいろいろな事件に遭遇しますし、世の中全体を不穏で落ち着かない空気が覆っています。そして、お風呂に裸で入ると、なにも隠せません。若い女の子の肌に湿疹ができているのをよく見かけます。やはり、ストレスからくるのだろうな、とわたしは思って見ているのですが、その荒れた肌の背中をお母さんが丁寧にケアしてあげているのを見るとこころが和みます。昨日は、浴槽につかって小さな銭湯の全体を見回すと、そこには女たちが裸で過ごす、穏やかで愛に満ちた美しい光景が広がっていました。あぁ、カメラが持ち込めたらこの光景を写真におさめたい・・とアングルやシャッタースピードを考えたくらいです(笑)。
日本は、火山列島。あちこちに温泉が沸き、昔からお風呂に入る習慣があったようですが、世界でこんなところばかりではありません。アメリカのNY近郊で公衆浴場に行ったら、水着を来てひとが入っていて、しかも、お湯もそれほど清潔には見えませんでした。愕然としました。ドイツには、沢山公衆浴場がありますが、ほとんどが男女混浴です。清潔で、サウナは充実していましたが、やはり、男性が女性をじろじろ見て心地よいものではありませんでした。海外でずっと生活していて、日本を恋しく思うことも、日本食が食べたいと思うこともあまりありませんでしたが、とにかく、お風呂と雨だけは恋しかったものです。
銭湯には、大きくなるまで行ったことはありませんでしたが、最初の銭湯経験のひとつは、韓国でのものでした。中は薄暗くて、おばちゃんたちが洗濯したり、髪を染めたり、騒がしくてあけっぴろげなものでした。韓国の銭湯習慣が日本の植民地化によるものなのか、もともとあったものかはわかりません。でも、スリリングで楽しかったのを覚えています。日本の銭湯では、洗濯も髪染めも許されないのは、清潔度を保つためだとはわかっていても、ちょっと世知辛いな、と思います。銭湯代はそれほど安くなく、お風呂が家にないひとはあまり経済的余裕もないだろうから、洗濯くらいしてもいいだろうにな〜、と思うのです。
いろいろ思うのですが、なんにしろ、お湯に浸れるってことは幸せなことで、しかも広い浴槽でゆったり入れ、周りのひとと裸の付き合いをする銭湯って贅沢で素敵だし、日本に残ってほしい風習のひとつだな、と思うのです。
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