NY行きのチケットのことで、ある女の子から質問されました。安いチケットはどこで購入したら良いですか、と。この夏のツアーに参加しようという女の子です。彼女が言うには、彼女の友人に勧められた旅行会社に聞いたところ「16万円くらいだ」と言われたそうです。8月で夏休みのピーク時というのもありますが、これは、例年に比べてかなり高いのでわたしは驚きました。それで、ネットで調べてみたら、7万円代からあったので、わたしも調べてみるから待っていてね、と。
それで、今朝時間が少しできたので、調べていくつかの会社に電話してみました。みんな同じ答えでした。
「7万円台のものは満席です」
今は、みなさんもご存知のとおり、4月の下旬です。確かに、夏休みはピーク時ですが、これほど早くに満席になることってほとんどありません。と、いうことは、これはただの客寄せのためのウソなわけです。それに、満席になっているのなら、情報は取り下げるのが良識であり、そのまま掲載していること自体がウソです。
こういうのが多いのが日本です。このところ、テレビのニュースをみると同じことしか繰り返し言わないので退屈なので見ていなかったニュースを、5分だけお昼の休みにみました。トップは、千葉県知事の談合事件でした。あ〜、またか、と思ったのはわたしだけではないでしょう。毎日のように、詐欺事件がニュースになるのです。要するに、政府の高官から、巷の小さな旅行会社まで、やっていることはそう変わりないわけです。
ところで、このチケット代の話しにはもっと妙な尾ひれがついています。7万円台のものがないとすると、安いのはいったいいくらであるのですか、と聞きました。すると、電話の男性は少し言いにくそうに「え〜だいたい15〜6万円ですね・・」と言いました。おかしいな、燃料費が下がっているのに、なぜなのだろう、と思いました。
それで、いくらピーク時とは言え、それ、例年より高いですよね、どうしてですか?と聞いたら、燃料費が安くなっていて・・と言い淀むので、静かに聞いていると、航空会社が一斉に航空運賃をあげたんです、というではありませんか!でも、この頃の妙な商売の世界に、だんだん慣れてきたわたしは今回は慌てずに言いました。でも、道理でゆくと、燃料費が安くなったらチケット代が安くなるって言うのが道理ですよね、それは妙ですね。すると、さすがにこの男性も、そうなんです・・おかしいんです。と正直に答えてくれました。
妙なのです。これを、妙だと思わないとしたら、そのひとはウソに飼いならされてしまったひとだとわたしは思います。
原価が下がれば、売値も下がって良いはず。妙です。理由は知りません。ただ、去年の燃油費が高くてオフシーズンだった11月頃、チケット代は10万円くらいだったのですが(NY往復)、そのうち航空運賃は2万円代で、あとはほとんどが燃油代と税金などでした。チケット代が2万円台というのも、あまりにも妙な話しです。しかも、燃油代も距離とは関係なく、目的地が人気の場所ほど高かったりして、メチャクチャでした。今の値段も、ウソにウソを塗り重ねて、こうなったんだろうと思います。
経済は心理学と言われてもう長いですが、今の社会は非常に巧妙に本心が分らないようにウソで固めているのが、経済にもよく現れていると感じます。なにが高くてなにが安いのか、ものの値段の所以はなんなのか、それさえもハッキリわからなくなっています。そして、ひとびとは、どんどん自分の本心も他人の本心もなにも分らなくなって、迷路に迷い込むかのようです。原油代が高くなっているのに、まるで高くなっていないかのように振る舞い、安くなっているのに、まるで高くなっているような値段設定がされる・・・。
話しは変わるようですが、わたしはよく、女の子たちに恋愛相談を持ちかけられることがあります。以前はしょっちゅうでした。でも、あるときから受け付けないようになりました。なぜって・・「なにを言っているかさっぱりわからないから」です。好きなのか、嫌いなのか、なぜつき合っているのか、傷付いているのかいないのか、どうしたいのか・・聞いていても分らないのです。
ある女の子は、ずっとつき合っていた男の子にウソをつき続けられ、相手には他につきあっている女の子がいたのに、それを知っても涙も出ず、それほど悲しくもなく、ショックでもなかった、というのです。じゃ、あなたは彼のことがそれほど好きじゃなかったのね、それが分って良かったじゃない、と言うと、いいえ、大好きでした。今でも好きです、と言うのです。ビックリしました。傷付かない心に、愛なんて芽生えないのですが、心がないひとなんているわけもありません。しかも、この女の子はまだ20代の後半で、まるでもうさんざん色恋ごとを経験して老成し、達観した引退間近の置屋の女将のように「他に女がいた?そうねぇ、そんなこともあるわよ」とうそぶくのは、あまりにも妙なのです。20代なんて、泣いて、笑って、怒って、躓いて・・どろんこになっても起き上がるから20代であって、おかしいでしょう、なんにも感じないなんて・・・。涙のひとつぶも出ないなんて・・・。
またある女の子は、ずっと好きだった男の子がいるけれど、お付き合いもしていないのに、つき合っている気分になっていたのです。そして、相手に彼女ができて、裏切られたような気になっていたのです。でもよぉく聞いてみると、実際にはお互いに気持を打ち明け合ったこともないし、つき合ってもいないのです。それを延々8年もつき合っているように思っていて、その男性の新しいガールフレンドを恨んでいるのです。正直、わたしは彼女の妄想のほうに衝撃でした。
このようなひとは少なくありません。ここに書いた人たちは、それでも分りやすい方です。書くこともできないほど、さっぱり意味のわからないひとたちもいます。何時間も延々と話しをするのですが、内容も意味も大混乱・・。こっちの頭がおかしくなりそうでした
年齢に関係なく、多くのそんなひとたちに出会ってきました。
「NY往復7万円」のチケットはないのにあたかもあるかのようにするのですから、傷付いたこころがあってもなかったようにしても当然でしょう。または、つき合ってもないのに、つき合っているような気になるのも当然でしょう。それにしても、社会心理と経済と恋愛はみんな繋がっていることを、改めて今回の混乱きわまりない航空会社の値段設定に知らしめされたのでした。
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